石巻追想(12) おばあちゃんの涙

なんだか、やることを選り分けているような偉そうな話をしてしまいましたが、もちろん基本は、頑張っている人たちの助けに、少しでもなること。

前日にちょっと大変なことがあった後、Yさんは「以前から気になっていた」という路地へ行くことを提案していました。

そこはトラックがギリギリ1台通れる狭い袋小路で、先が少し広い空き地になっています。そこへ周辺3~4件分のゴミが積み上げられており、威圧感と強烈な悪臭を放っていました。

彼はその日、2台のトラックと3班分の人員を効率よく動かして、おそらく4tトラック8杯分くらい(もっとだったかも)になったゴミを1日で片付けてしまいました。

自分はこの日が最終日だったのですが、それまでに見た中でも最も効率よく、みんなが心をひとつにして動いている、うまくいった現場だったように思います。

隣家のおばあちゃんは途中で差し入れをくれましたが、それだけでなく、全体作業の邪魔にならない場所でコツコツと釘の出ている木材を拾い集めたりもしていました。それは「自分も働かないと申し訳ない」というような気持ちよりも「とにかく、少しでもこのゴミを減らしたい」という想いからだったように見えました。

全てが片付いた後、我々も達成感があって、全員で集まって拍手をしました。おばあちゃんや周辺のお家の方たちも、出てきて一緒に拍手をしてくれました。

おばあちゃんは、目に涙を浮かべていました。

家を出入りする時に、怖くて仕方なかったそうです。

余震でこれが崩れたらと思うと、心配で仕方なかったそうです。

Yさんは、すごく晴れやかな顔で笑っていました。おばあちゃんたちと一緒に、最後に記念撮影。疲労困憊の帰り道も、みんな「今日は良い日だったな」と感じていたと思います。身体は痛いし、作業服は臭うし、おなかも空いたけれど。すごく、いい日でした。

こうした充実感が、キツい環境でボランティアを続けられる原動力になっているのだと思います。たとえ自己満足と揶揄されても。達成感と、笑顔が。